岩手医科大学附属病院は、日本放射線腫瘍学会(JASTRO)認定施設であり、安全かつ高精度の放射線治療を提供しております。放射線治療科では、外部放射線治療、密封小線源療法、内用療法を用いて、様々な腫瘍から一部の非腫瘍性疾患に対する治療を行っています。
外部放射線治療
直線加速器(LINAC)という放射線発生装置を用い、からだの外から放射線を病巣に照射し治療する方法です。当院には2台の直線加速器があり、X線と電子線を使った放射線治療が可能です。当院では、高精度治療である強度変調放射線治療(IMRT)、定位放射線治療(SRT)が可能であり、適応のある患者様には治療を行っております。一般的な外部放射線治療は、必要な線量を数十回に分けて、治療期間中は休日を除いて毎日行います。定位放射線治療の場合は、1回に照射する線量を大きくして、1回~数回で治療が終了します。毎回の放射線治療にかかる時間は5~10分程度で、痛みは感じません。放射線を照射した場合、多くの腫瘍は、ゆっくりと縮小していきます。放射線治療は腫瘍のある範囲を狙って照射を行いますが、病巣周囲の正常な組織(皮膚や粘膜)にも炎症(副作用)が現れる可能性があります。放射線治療の副作用は、治療が終了すると改善しますし、治療期間中は定期的に副作用の有無をチェックしますので、安心して治療を受けることができます。
治療の流れ
1.診察を行います。
2.治療するための位置決め
3.治療計画を作成します
4.照射治療をおこないます
密封小線源療法
からだの中に一時的あるいは永久に放射線源を留置して、からだの中から放射線を照射する方法です。岩手県内では唯一、当院が密封小線源療法実施施設となっております(2022年1月時点)。前立腺がんに対するI-125永久挿入療法(ブラキセラピー)は、泌尿器科と共同で行っており、これまで前立腺がんの患者様を1000人以上治療しました。当院は、日本でも有数のブラキセラピー実施施設です。また婦人科がんの領域では、通常の腔内照射に加え組織内照射も施行可能であり、より効果的な治療が提供できます。
内用療法
放射性同位元素を含む薬物の内服や注射を行うことで、からだにある腫瘍に集積した薬剤から放射線治療を行う方法です。甲状腺がん術後の外来アブレーション治療や、去勢抵抗性前立腺がん骨転移に対するラジウム(Ra-223)治療を実施しております。当院は大学病院ですので、今後新規薬剤が開発・販売された場合は、その都度導入を検討します。